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エンジニアリングとマネジメント

テクノロジーロードマップの作り方

ソフトウェア開発組織において、テクノロジーロードマップを作る機会があるでしょう。

テクノロジーロードマップとは、戦略的かつ長期的な計画を明示化し、そのプロセスをサポートするソリューションです。 ロードマップを作ることで、技術リソースや組織の目的、環境の変化との間の"動的な連携"を可視化できます。

テクノロジーロードマップとは

テクノロジーロードマップを実際に作ると、奥が深いことに気付くでしょう。 最初に考えさせられることが、テクノロジーロードマップは「テクノロジーの話だけではない」ということです。

技術戦略はビジネス戦略から独立して立案されるべきではなく、ビジネス計画が考慮されるべきです。 マーケットがあり、プロダクトがあり、そしてテクノロジーがあるのです。

ロードマップでは、マーケットとプロダクトとの連携を、時間軸の上に表現します。

https://d3i71xaburhd42.cloudfront.net/533d39a32b51704bb99dc3f95095b0d90fd18653/6-Figure2-1.png 引用: Technology roadmapping—A planning framework for evolution and revolution

ロードマップそのものより、ロードマップを作るプロセスのほうが重要

マーケット、プロダクト、テクノロジーのレイヤーが相互に連携したロードマップを作るためには、いくつものコミュニケーションが必要になります。

ロードマップを作ることは、組織間の議論を促進し、マーケット・プロダクト・テクノロジーの間のギャップを埋めることになります。 そのプロセスは、①マーケットを分析し、②プロダクト仕様を抽出し、③技術を抽出し、④ロードマップを作成するというように、それぞれの知識を共有しなければなりません。

https://d3i71xaburhd42.cloudfront.net/533d39a32b51704bb99dc3f95095b0d90fd18653/13-Figure6-1.png 引用: Technology roadmapping—A planning framework for evolution and revolution

このプロセスにおいて、マーケットの「プル」とテクノロジーの「プッシュ」のバランスをとるために、知識の共有が促進され、組織を跨いだコラボレーションにつながります。

https://d3i71xaburhd42.cloudfront.net/533d39a32b51704bb99dc3f95095b0d90fd18653/15-Figure8-1.png 引用: Technology roadmapping—A planning framework for evolution and revolution

マーケット・プロダクト・テクノロジーの間には、必ずコンフリクトが発生します。 コンフリクトを解消するために、対話を通して各レイヤーがお互いを理解することで、ロードマップが作られていきます。

そして、ロードマップを作るまでに発生するコミュニケーションを通して共通認識が生まれます。 このプロセスこそが、ロードマップがもたらす大きな価値になります。

トップダウンとボトムアップ

テクノロジーロードマップをトップダウンで作っただけでは、技術組織の理解は少ないため、ロードマップの実現は難しくなります。 一方、ボトムアップで作ると、特定の組織に閉じられたロードマップとなり、ダイナミックな戦略は生まれません。 そのため、トップダウンとボトムアップの両方が必要になります。

トップダウンである程度の指針を立てて、ボトムアップの意見を吸い上げて、そのコンフリクトを解消します。 この際に、マーケットやプロダクトロードマップとの整合性が崩れないようにしなければなりません。

トップとボトムを行き来することで、ロードマップの質が向上します。

ケイパビリティ

2015 NASA Technology Roadmaps では、個々のテクノロジーとともに、そのケイパビリティも定義されています。

2015 NASA Technology Roadmaps

ロードマップを実現するために、どのようなケイパビリティが必要なのかを分析することで、技術(あるいは、組織)戦略の具体化をできるようになります。

まとめ

テクノロジーロードマップは、それ単体では価値があまりありません。

マーケット・プロダクト・テクノロジーのロードマップと連動しながら、トップとボトムを行き来して作成することに意味があります。 そして、ケイパビリティを分析することで、組織戦略が見えてきます。

これらが連動することで、テクノロジーロードマップの価値が発揮されるようになります。

参考文献