以前プロダクトについての記事を書いた。
先の記事では”プロダクトの価値とエンジニアの価値”というものについて考察している。 記事中でも少し触れているが、改めて"エンジニアのコスト感覚"についての考えてみた。
エンジニアの生産性
先日とてもおもしろい記事を眺めていた。
「技術を財務で表現する」というテーマで、ビジョナル株式会社 CTO 竹内さんの頭の中がアウトプットされている。 その中で、エンジニアのアウトプット=生産力の話がとても印象に残った。
一番左にPL(損益計算書)、真ん中にBS(貸借対照表)、そして右にGP(総生産力)。GPってのは僕が勝手に名付けた名前で「Gross Productivity」の略にしています。要するにエンジニアチームの総生産力を表しています。
このG/Pの構成要素は当然ながら「ピンのエンジニアのアウトプット力」みたいなもの(Velocity)から、チーム開発プロセス、カルチャー、外部要因による摩擦(μ)、自己組織化における改善係数(k)など、まあ、色々あります。解像度を粗くして例を出すと「エンジニアにリモートワークを許可した方が良いか?」という議論は、結果としてG/Pが上がるかどうか?というゴールに対して見ていけば良いというような話になります。
エンジニア組織の価値は生産性で測ることができる
マネージャーとして思うこと。
「G/Pを最大化し、アウトプットを最大化する」ことがエンジニアチームマネジメントに課せられたミッションだと。
デプロイメントをすることが資産価値を高めるなら、運用は資産価値を維持することと考えられる。
運用工数を削減するということは、相対的に資産価値を高めているとも言えるだろう。
エンジニアのコスト感覚
『CTOの頭の中:技術を財務で表現する』見ていて思ったのが、「自分たちのコストを把握してコントロールしているエンジニアはどれくらいいるだろうか」ということ。
私たちエンジニアは自分たちのコスト、システムを取り巻く環境のコストを把握しなければならない。 1分1秒が生産性に直結しているという、危機感を持たなければならないのである。
私たちを取り巻く環境にはさまざまなコストが発生している。たとえば以下のようなものがある。
- 開発費用(=エンジニアの給与)
- 外注費用
- インフラ費用
- 各種ツール費用
- ライセンス費用
- (他にも多々ある)
自分自身の1時間はどれほどのコストになっていることを自覚しなければならない。
これを考えると投資対効果の合わないミーティングは開催したくなくなるし、自分の稼働時間を測定して効率化を進めないと三流エンジニアと化す。
1分1秒に危機感を持つ
先日、「リモートワークで集中できないがいい方法はないか」という相談を受けた。
改めて考えさせられたのだが、自分はなぜかずっと集中していた。なぜ集中できていたのか考えた所、”危機感を持っている”ことに気がついた。
チームの成果を最大限にするため1秒たりともムダにしたくないとか、そこまで高尚な思考は持ち合わせていないが異常な危機感だけを持っていた。「自分がワーカーホリックなんだろうな」とか思っていたが、そうではなくてムダなことをしたくないという思いが強いのかもしれない。
思い返すと、いつからか自分の仕事を toggl で計測する習慣がついていた。
下図のように秒単位で時間をみていると、「あー、今日は30分もSlack見てた…」とかを振り返るようになっていたようだ。習慣は恐るべし。
それでもいまだに、気を抜くと1秒をムダにしていることがある。気を抜けない。油断できない。自分の気を引き締める思いでこの記事を書いている。
コスト感覚を持っているエンジニアは強い
ただがむしゃらに仕事をするのではなく、いかに効率よく、いかに最適な仕事をするかというのを考えるエンジニアは強いと思う。 課題にマッチする最適解を見つける能力、今やるべきことをやるフォーカスする集中力などを発揮し、さまざまなものが取り巻く環境でもパワフルに仕事をしているように感じる。
コスト感覚を持っているエンジニア組織を作っていきたいと、今一度感じた最近のできごとだった。
- 自分たち自身の生産性向上をしなければエンジニアの価値はない
- 自分たちを取り巻く環境のコストを下げないとプロダクトの価値はあがらない
- 上記をできるエンジニア組織こそ、組織が求めるエンジニア組織である
もちろん、ブログ記事も読んでいただいた方の時間を頂戴していることになるとういうプレッシャー。すべての時間は有限であり有償なのだ。
漫画『リアル』にもこんな1シーンがある。改めて、心に染みてくる。
出典:リアル 第4巻
戸川くん、ジェットコースターに乗ったことある?あれって実際乗ってる時間はほんの何分かでしょ?だからってあれに乗ってる最中にあと何分しかない、あと何秒で終わっちゃうって、そんなことばかり考えてたら何のために乗ったかわかんないよね。