皆さんはどのようにプレゼン資料作成していますか。
本エントリは、プレゼン資料の魅せ方ではなく、不確実な思考からプレゼン資料を作成するまでのステップをまとめました。 わたしは、この方法をアウトライン駆動プレゼンと呼んでいます。
はじめに
アウトライン駆動プレゼンを説明するために、実際のプレゼン資料作成を例にして説明します。 例示するのは、「Engineering Manager Job description」というプレゼン資料です。
このプレゼン資料を作成したときの状況は以下のとおりです。
- Engineering Manager Meetup のコミュニティで、 Engineering Manager の Job description を作成するというプロジェクト成果報告
- プロジェクトメンバーが複数回の議論をとおして、情報整理が少し進んだが議論の結論に至ってはいない
- Engineering Manager の Job description まだまだ完成していない
難しいポイントは、「議論の結論に至ってはいない」ため、何を聴衆に伝えるべきなのかというところです。 本来は、伝えたいことがありそれを具体化するものですが、今回は逆のケースです。カオスから何を伝えるべきなのかというところから始まります。
「アウトライン駆動プレゼン」のステップ
アウトライン駆動プレゼンはどのように進めていくか整理していきましょう。ざっくりとした流れは下記のとおりです。
私流のプレゼン資料の作り方 。今回は火曜日から木曜日でなんとかやりました😇
— daisuke sato (@dskst9) 2019年2月1日
1. マインドマップで伝えたいキーワードを洗う
2. プレゼンのコアを決めてマインドマップでストーリーを作る
3. Docsでアウトライン作成
4. スライドにおとす
5. 音読しながら微修正#em_meetup
ステップ1. キーワードを洗い出す
「Job description」というテーマから、どのようなキーワードがあるかを洗い出します。 マインドマップなどを利用して、本質や課題、何と何が関連しているのかを整理しました。
わたしの頭の中では、「そもそも Job description ってなんだろう?」というが理解できいなかったようです。 マインドマップを作りながら、気になる情報を調べてさらにマインドマップを広げました。 この段階では、プレゼン資料に入れる入れないは考えません。まずは情報を並べるだけです。
ステップ2. ストーリーを作る
次にプレゼンのストーリーを作りましょう。大事なことは、プレゼンの「ビジョン」と「核」を決めることです。
①ビジョン: 「相手からどんな行動を引き出したいのか」「相手にとってハッピーな未来はとはどういうものか」を考える。
②核: プレゼンの根幹をなすメッセージを「伝言ゲームができるような言葉」に落とし込む。『世界№1プレゼン術』(澤円. 2017. ダイヤモンド社.)より引用
これは、澤円さんのプレゼンの作り方を参考にしています。
プレゼンの核ができたら、Step1のキーワードをもとに、どのようなストーリーにするか考えてみましょう。 プレゼンの核を中心として、ストーリー展開を構成します。
構成としては、以下のようなストーリーができました。
- Job description とは何なのか
- 必要なのか
- どうなっていくのか
- 実際に作ってみる
- 作れなかったけど見えるものがあった
今回のプレゼンでは、「Job description を書くことに興味を持つことで、Job description の重要性を各社に広げる」という行動を引き出そうと考えました。 この段階でできているのは、プレゼンの「目次」と言い換えてもかまいません。 なお、当初は「おまえたちの Job description のレシピ」というタイトルを考えていたようですが、最終的にタイトルは変えました。
ステップ3. アウトラインを作る
ストーリーができたら次はアウトラインを作ります。
早速、さきほどのストーリーに肉付けをしていきましょう。キーワードの説明を補足していくようなイメージです。 併せて、ストーリーの繋がりを確認します。ストーリーの流れに違和感がでるものは、間に何かを挟んだり順番を変えたりなどしましょう。
わたしは、 Google Docs でアウトラインを作成しています。 今回のプレゼンのアウトラインは、以下のようになりました。
このアウトラインでは、会場アンケートとわたしの感情をアウトラインに追加しました。理由は以下のとおりです。
- 会場アンケート
- アイスブレイクと会場の一体感演出のため
- 2つの質問から会場全員が手を挙げるように設計して人ごとではないようにする
- 3つ目の質問は意表をついてプレゼンに引き込むため
- 感情
- 「む?むむ?むむむ?」というワードで、難しくて困っていることを伝える
- 結局 Job description はできていないので、なぜ難しかったのかを論理的以外にもエモーショナルに伝える
ステップ4. スライドを作る
ここまでで来たら、プレゼン資料の作成に着手します。
とはいえ、やることの3/4はもう終わっています。 アウトラインを元に、スライドなどに文字を入れていけば完了です。 このステップでは、以下に気を配ると良いでしょう。
- スライドでも抑揚を表現する
- ストーリーを際立たせる画像や絵を入れる
- ストーリー間の繋ぎが違和感ないか
ステップ5. 音読する
さて、スライドができたら音読をしてみましょう。
声に出して読むことで、スライドの流れを頭に入れられて、ストーリーの違和感を見つけることもできるでしょう。 聞いてくれる人が周りにいたら、ぜひ、その人の前でプレゼンすることをお勧めします。人に対してプレゼンすると、自分が想像もし得なかったフィードバックを受けることができます。
おまけ:発表時間の構成
わたしは、20分ほどのプレゼンであれば時間を気にせずアウトラインを作ります。
アウトラインができたら一度音読をしてみて、時間がどれくらいかかるか確認します。 時間が足りなければ話すことを減らして時間を短くして、時間が余れば話すことを増やして時間を長くします。 これを数回行うと、プレゼン資料に対して時間間隔が染み込みます。あとは、プレゼン中に適宜調整してタイムコントロールすれば良いでしょう。タイムコントロールをするためには、スライドに情報を書きすぎないのがコツになります。
できあがり
こうして、でき上がったのが下記のプレゼン資料です。 アウトラインにもない部分が何箇所かありますが、前述したとおりストーリー構成上差し込んだものです。
以上、アウトライン駆動プレゼンのステップでした。
アウトライン駆動プレゼンで資料を作ると:
- プレゼンの核から考える
- アウトライン作成途中でストーリー変更が容易
- スライドのお化粧ではなく中身にフォーカスできる
というメリットがあります。
皆さんもぜひ、アウトライン駆動プレゼンをして試してみてください。