STEAM PLACE

エンジニアリングとマネジメント

『カイゼン・ジャーニー』を読んで熱くなれ

twitterでも話題になっているカイゼンジャーニーを読みました!

カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで

カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで

展開されるストーリーに胸が熱くなり、一歩踏み出すパワーをくれます。

続きを読む

『エンジニアリング組織論への招待』はおもしろかった

タイトルだけで絶対におもしろいと思い、即買いしてしまった本です。  

エンジニアリング組織論への招待 ?不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング

エンジニアリング組織論への招待 ?不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング

 

広木さんもサピエンス全史の4倍おもしろいと言っていましたw

続きを読む

企業が公式テックブログをつくるべき3つの理由

職場にてテックブログを立ち上げる機会があったので、何のためにやるのだという説明が必要だった。

f:id:dskst9:20170914003346j:plain

改めて、何のために?というのを考えると、ぼちぼち深いテーマでもあるなと思ったのでまとめてみた。
(立派なタイトルを付けてしまったが、あくまでも私感。)

続きを読む

おすすめの工数見積もり方法 2点見積もり

おすすめの工数見積もり方法についてのお話です。

(前置き)ストーリーポイントと相対見積もりについて

本題の前に相対見積もりとストーリーポイントについて少し触れましょう。 私は人日/人月などの絶対見積もりは使わず、相対見積もりによってストーリーポイントをつけています。

ストーリーポイントは、ユーザーストーリーやフィーチャーの規模感を表す単位です。 そして、基準となるユーザーストーリーのストーリーポイントに対して、どれくらい大きい/小さいかを見積もるのが相対見積もりです。

本エントリの見積もり単位もストーリーポイントを使用して説明します。

2点見積もりとは

「最小工数」と「最大工数」の2つを算出して見積もる方法のことです。 見積もるプロジェクト規模が大きい、あるいは不確定要素があるという時に効果を発揮するでしょう。

hirokidaichi さんの記事に、2点見積もりのことがさらに詳しくまとまっているので、是非一読ください。
qiita.com

それでは、どうやって見積もるかを具体的に説明します。

1点見積もり

まず、普段よく目にするのは下記のような1点見積もりです。

タスク名 sp(ストーリーポイント)
タスクA 5
タスクB 3
タスクC 13
合計 21

これには、個々人の尺度で見積もられており、リスクやバッファも含めたストーリーポイントになっていることでしょう。 とりわけ、見積もりは大きくなればなるほど不確実になります。

「タスクCは、本当に13なのか」、「もっと多いのではないか」──。この判断は、非常に難しいものです。

2点見積もり

対して、2点見積もりは「順調に進行した工数」、「遅延した工数」、そして「不安量」を用います。

  • sp順調: 順調に進行した場合のストーリーポイント
  • sp遅延: 最大限に遅延した場合のストーリーポイント
  • 不安量: =(sp遅延-(sp順調とsp遅延の平均))^2
タスク名 sp順調 sp遅延 不安量
タスクA 3 5 1
タスクB 2 5 2.25
タスクC 13 34 110.25
合計 18 44 113.5

上記のタスクCを例にすると、順調に進めば13 、遅延すると34と見積もっています。 もちろん、もっと遅延する可能性があれば55と入力することもあるでしょう。 2点見積もりでは、sp順調とsp遅延を入力することで、バッファ量を算出できます。 算出したバッファ量を順調spに足すことで、最終的な工数を算出するという仕組みです。

※バッファ量をスプレッドシートで算出する場合は、 SQRT関数 で平方根を算出できます。

例に挙げたプロジェクトの場合、 18+SQRT(113.5)≒29sp が工数になり、1点見積もりより7sp多くなりました。 これにより、1点見積もりの方が楽観的見積もりになっていたことがわかりました。 なお、順調と遅延の差が大きければ大きいほど、不安量が積まれバッファ量に反映されることになります。

何がいいのか

1点見積もりの場合、不確実な見積もりに対して確実な値を入れることになり、悩みが付き纏います。 前提となる要求が定まっていない場合、その悩みは大きくなるでしょう。

「この想定だとすぐ完了するが、もしかすると全然想定が違うかもしれない。そうなると21かな──。」

見積もりの際に、このようなことを繰り返している方も多いのではないでしょうか。 そして、1タスク毎の微妙なズレが見積もり全体を破綻させるのです。

不確実性のコーン 『プロジェクトの本質とはなにか』 (日経クロステック) https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20131001/508039/ より引用

不確実性のコーンが示すとおり、「初期コンセプト」段階の見積もりは、0.25~4倍ほど乖離することもあるでしょう。 プロジェクトのフェーズによっては、見積もりの精度を突き詰めても価値ある見積もりはできません。

2点見積もりを用いた場合、最小と最大を取るのである程度ざっくりと見積もることができます。 最小と最大の差が開くと「不安量」が大きくなり、その分だけバッファが積まれることになります。

これにより:

  1. 見積もりという不確実なもので悩む時間を削減できる
  2. 悲観的見積もり、楽観的見積もりの偏りが少ない
  3. 不安量が多いタスクの洗い出しができる

さいごに

不確実性のコーンを考えると、開発する前に正確な見積もりはできません。見積もりに対する注力する価値はどれほどになるでしょうか。 少しでも確実な見積もりにしていくためには、不安量の高いタスクから着手していくことで、見積もりをブラッシュアップしていくと良いでしょう。

エンジニアのためのマネジメント入門

『エンジニアのためのマネジメント入門』という本を執筆したので、こちらも併せてご覧いただけると嬉しい限りです。

『ビジョナリー・カンパニー』を読み終えて

『ビジョナリー・カンパニー』はいい本だった

経営の書籍といったイメージだが、会社でのポジション関係なしに読んでおいて損のない本だと思う。

「時代を超え、際立った存在であり続ける起業(ビジョナリー・カンパニー)」とはどういったものかというのを、様々な起業を比較対象としながら解き明かしていっている。

今後自身で起業するにしろ、会社員として務めるにしろ、会社の理念というものがいかに大事であるか。これをしっかりと腹落ちする。

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

大事なところ

本書では以下の4つだけは覚えておいて欲しいとうったえている。

  1. 時を告げる預言者になるな。時計をつくる設計者になれ。
  2. 「ANDの才能」を重視しよう。
  3. 基本理念を維持し、進歩をを促す。
  4. 一貫性を追求しよう。

ビジョナリー・カンパニーが上記に対してどのような取り組みを行っているか。それにより、どうなっていったかを他企業と比較して書いており、何度も繰り返し書かれていることから自然と頭に入ってくる構成になっている。

1. 時を告げる預言者になるな。時計をつくる設計者になれ。

端的に言うと、圧倒的なカリスマ性や指導力で会社を仕切っていくのではなく、 基本理念の元、後述の2~3を実現するための仕組みをつくる ということかと思う。

会社に対してしっかりとした仕組みを作ることで、社員の士気や思想なども仕組みを用いてつくられていき、指導者が去った後も、会社は成長し続ける。
※後継者育成は力を入れて取り組むべきと本書では伝えており、どんなに素晴らしい仕組みがあっても後継者が理念に沿っていない場合は、会社は衰退する。

2.「ANDの才能」を重視しよう。

「ORの抑圧」
一見矛盾する力や考え方は同時に追記有できないとする理性的な見方である。

「低コストか、高品質のどちらかだ」。
そんなの無理じゃん!と決めてかかってしまうのが「ORの抑圧」。

「ANDの才能」
様々な側面の両極にあるものを同時に追求する能力。

「低コストか、高品質のどちらかだ」。
ではなく、 「低コスト、かつ高品質」の 両方を追求する

バランスを取るのではなく、両方をとことん追求、徹底するということだ。 コスト云々だけだはなく、事業、会社組織に渡る全てにおいて、「AND」を追求していく。

3.基本理念を維持し、進歩を促す。

  • 基本理念 = 基本的価値観 + 目的
  • 基本的価値観 = 組織にとって不可欠で不変の主義。
    幾つかの一般的な指導原理からなり、文化や経営手法と混同してはならず、利益の追求や目先の事情のために曲げてはならない。
  • 目的 = 単なる金儲けを超えた会社の根本的な存在理由。
    地平線の上に永遠に輝き続ける道しるべとなる星であり、個々の目標や事業戦略と混同してはならない。

基本理念は会社の中心となり、決して曲げてはならないものであり、基本理念にしたがって行動する。 そして、基本理念以外のすべての分野で、変化と前進を強く促すことで、基本理念と進歩への意欲が共存し、相互に力を与え合い、補完し合い、強化し合うことになる。

簡単に言ってしまえば、基本理念以外は柔軟に、時には劇的に変化していくという仕組みをつくっていくということかな。

  • 基本理念を維持する例
    • カルトのような文化を築き、基本理念を信奉させる
    • 生え抜きの経営陣(社内の人材を経営幹部に登用)
  • 進歩を促すの例
    • 社運を賭けた大胆な目標(本書では「BHAG」と呼んでいる)を掲げる
    • 大量のものを試して、うまくいったものを残す
    • 決して満足しない

4.一貫性を追求しよう。

基本理念、それらの仕組みに一貫性をもって取り組む。
基本理念は絶対に変えないし、全ては基本理念に沿って組織をつくっていく。

社員が一貫したシグナルを受け取り、基本理念を支え、目標通りの進歩を遂げる環境が強化されているか。

自己啓発本でもある?

人間は一人ひとりは小さな会社でもある。といった内容の本をどこかで見たが、それに置き換えると、これらは全て自分自身という会社に置き換えれるような気がした。

例えば以下のような感じかな。

  1. 時を告げる預言者になるな。時計をつくる設計者になれ。
    自分の中にルールを設けて、常にそのルールに従う。
  2. 「ANDの才能」を重視しよう。
    両方を追い求める。常にそう心がける、またはそうなるルールをつくる。
  3. 基本理念を維持し、進歩をを促す。
    自分自身の理念をつくり、それに従う。
    進歩していくための自分自身の大きな目標、決して満足しないハングリー精神を持つ。
  4. 一貫性を追求しよう。
    それらを徹底する。一貫して反した場合は自分に罰を与える。

実は、本ブログで書いている英語の勉強もこれに沿って勉強法を考えていた。 どうしても怠けてしまうので、勉強にルールを設けて、そのルールを徹底するような仕組み(勉強したらブログにアウトプットする)ということを取り入れてみた。

勉強よりも大きい視点で取り入れれそうだが、自分自身で理念というのがイマイチ明確になっていないので、そこを探求してみようか。